先日、某所からBuffaloの企業向けNASであるTerastationを入手しました。 型番は「TS-WXL」と「TS-5200D」でどちらも2ベイの業務用NAS。 どちらもGigabitEthernetを備えており、主な違いはCPUとメモリ、そして入出力インターフェイスとなっております。 さて、この記事では上の2つの機種について簡単に分解を行い、どのように進化が行われたのをじっくりと探っていきます。 便宜上、「TS-WX1.0TL/R1」を「TS-WXL」、「TS5200D0202」を「TS5200D」とし扱います。
外観
前面
上が「TS-WX1.0TL/R1」、下が「TS5200D0202」です。 前面で異なる箇所はフロントパネルの仕上げだけで後は新旧共通のデザインとなっています。 さて、どこが進化しているかを探っていくこととしましょう。 フロントパネルを開けてみたところ。 コンソール用端子とHDDトレイが若干異なりますが構造は概ね同じよう。 リセットボタンも共通。 あの赤いやつです。
HDDマウンタ
「TS-WXL」のマウンタ。 最後にレバーを閉めることでHDDと基板が確実に固定されるようになっています。 こちらは「TS5200D」のマウンタ。 デザインが変化したほか、開閉も以前のモデルに比べてとても楽になっています。
背面
端子が幾つか異なります。 共通部分はUSB2.0×2にGigabitLan×2 UPS接続用端子といったところでしょうか。 「TS-WXL」ではUSB2.0×2のところが、「TS5200D」ではUSB3.0×2が追加されています。 また、UPS接続用端子の左に「BOOT切り替え」がありますがこれがとても重要となります。 Bootの切り替えでHDDが空でもUSBメモリから起動できますが、これはまたのちほど。
内部構造
本題の内部の回路についてです。 どのように改良されたかを細かく見ていくこととします。 分解するには背面のネジ5つを外し、背面から上に持ち上げることで簡単に行なえます。
電源部
上が「TS-WXL」で下が「TS5200D」。 ラベルこそ異なれど、同一の電源を使用しているように感じます。
CPU
「TS-WXL」では「Marvell MV78100-A0 88SX7042 (800MHz)」を採用。組み込み用途によく使われます。 ARM系のCPUで消費電力が少なく、処理能力も小さいものとなっています。 そのため、ヒートシンクも小型で済んでいます。 左手前にUSB端子が付きそうな場所があるのですが、これは一体? 変わって「TS5200D」では「Intel Atom D2550」を使用 2Core/4Threadで処理能力も格段に向上しています。 またチップセットが搭載されているようでヒートシンクが横長になり、面積も大幅に増しています。
メモリ(RAM)
「TS-WXL」ではDDR2-800MHzメモリを採用しているようです。 容量は1GBit*4の512MB。 バックアップ用と思われる電気二重層の後ろに4つ並んでいます。 「TS5200D」ではDDR3-1066MHzメモリを採用しているようです。 容量は4倍の2GB。 「TS-WXL」のオンボード型と異なり、ソケットが付き、メモリが着脱可能になりました。
SATA
HDDと直接接続する箇所になります。 向かって左の金属板の中にHDDが接続される構造となります。 上が「TS-WXL」で、下が「TS5200D」 「TS-5200D」ではバックアップ電池が取り付けられており、時刻などの情報を保つことが可能になっています。 3本線が出ているものはファン用の電源&コントロール端子。 内部のSATAコネクタはどちらの機種も変わらず、このような構造となっています。
外部出力
BIOS
「TS-WXL」については「RS-232C」を介しての通信のようですが、シリアルケーブルを所持していないため確認が取れていません。 「TS5200D」にはx86系プロセッサが採用されており、コンソール用としてVGA端子が搭載されたため、BIOSを確認できるようになりました。 VGA端子とディスプレイを直接接続するだけで、画面に出力が行われます。 American MegatrendsのBIOSを採用。 CPUはIntel Atom D2550と確認できます。
コンソール
「TS5200D」ではBIOSの確認と同様にすることでコンソールを見ることができます。 これはファームウェアのインストール画面。 別記事でTS5200Dへのファームウェア流し込みについて紹介しています。
操作画面
操作画面も問題なく確認できます。共有フォルダの作成に成功し、SMB, AFP など各プロコトルでの接続も問題なく行えました。
benckmarkの結果を見るとReadが118MB/sとなっておりギガビットEthernetの上限に迫る勢いとなっております。
RAID1でこの速度のためチーミングに対応しているこの機種ではRAID0など組むとより早い速度が期待できます。iSCSIにも対応しているため、これだけ出ていればネットワークブートも問題無いでしょう。
最後に
鍵は2機種で同一のものとなっています。 TeraStationで全て共通との噂もありますが実際のところはどうなんでしょう… とりあえず鍵を紛失した場合は別のTeraStationの鍵を流用できそうです。 次回はスペックの向上した「TS5200D」について、USB-Bootを利用してTeraStationを復活させてみます。